孤独になりがちな育児、どう心の健康を保つ?

投稿:2023/11/13

更新:2023/12/06

子育て

マタニティーブルーズとは

妊娠中は気持ちが不安定になりやすく、出産後にうつ病になることが多いということをお聞きになったことがあるでしょう。出産した女性の30〜50%は、産後数日から2週間程度のうちに抑うつ的になり、マタニティーブルーズといわれています。

この背景には、身体的、精神的な疲れだけではなく、ホルモンの劇的な変化なども関わっていて、自然に良くなることが多いのです。しかし、その後も抑うつが持続することも少なくありません。これは周産期うつ病と呼ばれ、心のケアや治療が必要な状態なのです。

現在では産後の健診にエジンバラうつ病尺度※1が採用され、産後の心の状態についてもチェックがなされるようになりました。しかし、心の不調のサインがあっても、なかなか精神科の受診までには敷居が高いという人も少なくありませんし、子育てのまっただなかで、自分の心のことまでケアするゆとりがないという方も多いのです。

 

※1エジンバラうつ病尺度

産後のうつ状態を図るためのテスト。10種類の質問項目に対し、患者さん自身が記入。その結果をもとにうつ状態を把握する。

 

気がつけば陥る、孤独な育児

しかし、そこが要注意なのです。子どもはお母さんを寝かせてくれないですし、どんどんとお母さんの疲れはたまっていきます。家族の中の人間関係も大きく揺れ動きます。

核家族化の時代ですからご実家からのサポートも十分とはいえません。夫は頼りになるか、というと、一昔前よりはずっと状況は変わってきたとは思いますが、心のくたびれ果てたお母さんには、夫の支えは今ひとつかゆいところに手が届かなかったり、「自分の大変さなんてわかりっこない」と思ったり、時にはお母さん自身がやり遂げなければならないという根拠のない思いにとりつかれているかもしれません。

気がついてみると、どんどんと“孤独”な育児になっていて、思わず子どもにいらだっていたりします。

 

周囲に「頼る」ことを覚え、自身にも心のケアを

そんなときは家族以外の人や場所に相談してみましょう。身近な保健師や子育て相談窓口、それ以外にももっと様々な援助の窓口があります。私たちが開設しているメンタルヘルスケアシステム「KOKOROBO-J」もそのひとつです。

いまの気持ちを誰かに打ち明け、頼ることができるようになれば、周囲に目を向けられ、身近に応援団がいっぱいいることにも気がつくでしょう。

その結果、必ずしもワンオペ育児ではないことに気がついたり、精神科を受診する気持ちにもなるかもしれません。

育児に満点はなく、誰もが試行錯誤の連続です。しかし、周囲に頼ることで、これまで0点に思えていた育児が「自分なりに頑張っているかも」と、ちょっとポジティブに思える日もあるかもしれません。子どものためには何でもできるけれど、自分のことは後回しにしてしまう。そんなときこそ、ご自身の心のケアにエネルギーを振り分けて下さい。「自分のために」が無理なら「子どものために」。そのことがきっといい子育てにつながると思います。

著者の画像

岡田 俊

奈良県立医科大学 精神医学講座 教授
専門分野:児童精神医学

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